お口ポカン
「お口ポカン」とは、無意識のうちに口が常に開いている状態を指し、専門的には「口唇閉鎖不全症(こうしんへいさふぜんしょう)」と呼ばれます。本来、人の口は閉じているのが自然な状態ですが、この状態が続くと、見た目だけでなく、歯並びや顔の骨格形成、さらには全身の健康にも様々な影響を及ぼす可能性があります。
原因要因
この状態の主な原因は、鼻炎やアデノイド肥大などによる鼻詰まりで、鼻で呼吸がしにくいために口呼吸が習慣化してしまうことです。また、唇や舌、頬の筋肉が十分に発達していない「口腔機能発達不全症」も大きな要因です。指しゃぶりや爪噛みなどの癖が長く続くことも、口周りの筋肉のバランスを崩し、お口ポカンにつながることがあります。
早期発見のポイント
お子さんに以下のような様子が見られたら、「お口ポカン」のサインかもしれません。
✅テレビを見ている時や何かに集中している時に、口がいつも開いている
✅食事中にクチャクチャと音を立てて食べる
✅寝ている時にいびきをかく、または口を開けて寝ている
✅風邪をひきやすい、口内炎ができやすい
✅唇がカサカサに乾いていることが多い
放置した場合のリスク
お口ポカンを放置すると、口呼吸が続くことで唾液が乾き、虫歯や歯周病になりやすくなります。また、舌が常に低い位置にあるため、上顎の成長が妨げられ、出っ歯(上顎前突)や歯がガタガタに生える叢生(そうせい)といった歯並びの乱れを引き起こす原因となります。さらに、発音が不明瞭になったり、顔つきが引き締まりのない印象になったりすることもあります。
治療方法
まず、鼻炎など口呼吸の原因となる病気がないか耳鼻咽喉科と連携して確認します。歯科では、口周りの筋肉を正しく使えるようにする筋機能トレーニング(MFT)が中心となります。専用の装置を使って唇を閉じる力を鍛えたり、舌を正しい位置に置く練習をしたりします。必要に応じて、顎の成長を適切にサポートするための矯正装置を併用し、健全な歯並びと顔の骨格形成を促します。
治療のタイミング・対象年齢
顎の骨格が大きく成長する3歳から12歳頃が、治療を開始するのに最も効果的な時期です。特に、顎の成長が活発な5歳から8歳頃にトレーニングを始めると、筋肉や骨格の正しい発育を促しやすくなります。お子さんの「お口ポカン」に気づいたら、できるだけ早めにご相談ください。